【通関難航案件】中国向け化粧品の輸出

この度は、国内から中国で販売する国産化粧品の輸出手配をさせて頂きました。

近年、海外からMade in JAPANの化粧品への需要が高まっていく中、
日頃から化粧品の輸出をご依頼頂き、度々の手配を行っておりますが、
今回は稀な出来事がありましたので、ご紹介させて頂きます。

初めに、今回輸出しました化粧品は、国内向けに販売されている形態のまま輸出するケースでしたので、「医薬品医療機器等法」の規制には該当されず、それに基づく許可や届出は不要でした。

また、「キャッチオール規制」にも該当しなかったため、残る確認事項は輸出通関での税関からの成分等に関する回答と、輸出先国で輸入不可な成分を確認するだけでした。

通常、化粧品には多くの動物性・植物性の成分が含まれておりますので、通関申告時に税関から細かく成分を確認される可能性がございます。またその際に必要となるのがメーカー様から入手する「製品安全データシート」(通称:SDS、及び英語版のMSDS)です。

実際に今回輸出申告時に税関から質問を受けました成分は以下になります。

  • シュガースクワラン ※成分の抽出元→植物
  • プラセンタエキス  ※成分の抽出元→豚
  • 水溶性コラーゲン液 ※成分の抽出元→魚

以上3項目の成分確認・見本検査実施後に輸出許可を頂き、無事に船積みを終え、本案件はクローズしました。

その後香港へ6日後に到着し、本件宛地が香港経由→中国貴州だったので、本来はこのまま中国側輸入通関後に配達される予定でしたが、まさかの中国税関から通関許可を頂けませんでした。

気になる理由としまして、成分内の「野生大豆」が絶滅危惧植物(レッドリスト)に含まれていたことでした。

さらに調査をしたところ、2022年度に入ってから同じく中国向けに輸出された化粧品で、成分内の「野生大豆」により輸入許可が下りない事態が急増しているようでした。ライセンスを取得することで輸入許可が下りることを確認し現地法人にライセンス取得をお願いしました。

しかしタイミング悪く、現地ではコロナによるロックダウンを受け、中国税関が稼働していなかったため当ライセンスも取得できず、顧客様の積戻しは行わないという要望に合わせてロックダウン解除まで静観せざるを得ない状況となってしまいました。

その後実に1か月の月日が経ち、ようやくロックダウン解除されました。
また、ロックダウン解除と共に「野生大豆」に関するライセンス取得の必要も無くなり、これまでの苦労が信じられないと思える程にあっけなく通関し配達されました。

余談ではありますが、国産化粧品等でよく目にする「第一種・第二種医薬品」の表示が記述されている商品の場合は、中国で薬品と判断され、主に「薬品管理法」、「薬品輸入管理弁法」、「薬品登録管理弁法」等の法律に該当される可能性があること、また輸入届出手続きを行う検査申請業者は「薬品経営許可証」(または「薬品生産許可証」)を持つ法人でなければならないこと、ご用心ください。

以上、今回は前例のないコロナによるロックダウンの影響をもろに受け、「野生大豆」に関する輸入ライセンスが不要となった理由も未だ不明のため確認中ではありますが、無事に中国側で通関できましたことに安堵しました。

※化粧品の輸出について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。


最後に、本件のように化粧品に関する案件は危険品に該当されない商品であっても、輸出申告時の手数や手続き方法、輸入国側の通関申告が複雑な場合がございます。是非実績のある企業様にご相談することをお勧め致します。弊社も化粧品案件を取り扱っております。お気軽に問い合わせください。

株式会社バンソーロジスティクス
マーケティング部 TEL: 03-6268-9496